復興需要で型枠大工の不足深刻(2014/9/10)

10月17日のニュースですが、河北新報さんから職人不足の興味深いニュースで出ていたので紹介します。深刻化している職人不足が改善できるように弊社の求人サイトが有効活用されたら幸いです。以下が、ニュースの引用です。

東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県で、建設業の職人不足が深刻化している。中でも「型枠大工」は、求人に対して求職が極端に少ないミスマッチが際立つ。復興需要に支えられて労務単価は改善傾向にあるものの、仕事の厳しさなどから若年層が敬遠する傾向が強い。職人の高齢化が進み、「地元の若い人材を育てないと、10年後には型枠大工が激減する」と関係者は危機感を抱く。(報道部・久道真一)

<求人倍率が突出>
 仙台市青葉区のマンション建築現場。型枠大工たちが、鉄筋の上に木製型枠を手際よく設置していく。震災以降、建設業界は活況を呈し、大工たちの表情は明るい。
 「完成して引き渡す時には感動する。なくてはならない仕事で、やりがいを感じる」と話すのは、職長として現場を仕切る阿部敏工務店(太白区)の前田展宏さん(33)。ただ、70代の職人の手を借りるほど忙しく「ベテランに頼れなくなったらどうなるか」と不安が頭をよぎることがある。
 東北6県の7月の建設業関連職種の求人倍率(原数値、表)によると、各職種とも県全体の倍率を上回る。特に型枠大工や鉄筋工などの「建築躯体(くたい)工事の職業」は、青森を除く5県で突出して高い。
 工事会社35社でつくる宮城県型枠工事業協同組合の沼倉正也副理事長は「型枠の仕事は道具類が多く、覚えることがたくさんある。被災地には復興関係の仕事もあり、人が集まりにくい」と語る。

<入札不調の一因>
 型枠業界では、2008年のリーマン・ショック以降、元請け会社による安値受注が相次ぎ、工事単価が大幅に下落した。型枠大工の賃金も減少し、全国で約7万5000人いた大工の4割が離職していった。
 人材不足は震災後、復興需要で建設投資が増えるとさらに顕在化した。不足分を穴埋めしたのは県外からの応援だった。宮城県型枠工事業協組によると、県内の型枠大工は計約1200人。協組は「その何倍もの職人が、関西など全国から出稼ぎで入ってきている」と説明する。
 工期を守るため、元請けや工事会社が大工をかき集めた結果、「応援組」の日当は約2万5000円まで高騰した。資材高も加わり、被災地での入札不調の一因にもなっている。
 一方で、震災前は1万円前後だった地元大工の日当も1万5000円程度に回復。関係者の間では「人件費高騰が復興の妨げになると言われるが、地元に限れば、ようやく適正な単価に戻っただけ」との思いが強い。

<週休2日実施を>
 この機会に新しい人材を確保しようと、各社は求人を出しているが、「きつい」「休みが少ない」といった理由で若者の応募は少なく、結果として高い求人倍率が続く。
 業界関係者は「復興需要がなくなれば、県外の応援組は引き揚げる。20年の東京五輪で建設投資が首都圏に集中し、人材不足に拍車が掛かる」とみる。
 国内では、高度経済成長期のインフラが更新時期を迎え、その維持管理が大きな課題だ。宮城県建設業協会の伊藤博英専務理事は「若い人材を集めるには、給与水準の改善や週休2日の実施などが必要。国や自治体と共に建設業の重要性と魅力を伝える努力も重要だ」と強調する。

[型枠大工]公共施設やマンションなどの鉄筋コンクリート建築工事で、コンクリートを流し込むための型を作る専門職。合板などの木材を柱や壁、床などに合わせて加工し、現場で組み立てる。職人数は全国で約4万5000人、東北6県では約4500人。
(出典:河北新報)



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